村上健一さん⑤

こんにちは、イエローです。

いよいよ村上さんの記事も5回目。これで最後です。
(がまだの方は先にお読みください。)

今回は、村上さんが今までに経験した旅行のお話しを中心に、
ご紹介したいと思います。

~京都に旅行したんですよね。

ええ、彼女と。

彼女と遠出をする前には、練習として 近場で横浜に1泊してみました。
泊まったのはパンパシフィック横浜ベイホテルです。
もし、無理なことがあれば、帰ってくれば良い、くらいの感じで。
それが成功したので一緒に遠くにも行けるかなと思うようになりました。

何度か彼女とディズニーシーへ行ったのですが、
夜のヘルパーさんのことを気にしながらだと
夜のパレードが観られないんですよね。
それで、彼女になんとか喜んでもらいたいと一緒に挑戦して
泊まったのがヒルトン東京ベイ。
ヒルトン東京ベイは設備もすばらしくてすごくよかったです。

次は新幹線を使って行けるところに行ってみたいねということで
彼女は力もないし、できることは限られているので、
なるべく介助が少なくて済むように下調べして、
ホテル日航プリンセス京都のバリアフリールームに二泊し、
そこを拠点に観光しました。

~京都はいかがでしたか

京都の街は観光地ということもあるのか、
東京よりもバリアフリー化が進んでいて、移動しやすく感じました。
地下鉄のホームも電車との隙間がほとんど無く、
乗り降りが簡単にできました。
京都の伊勢丹は、エレベーターガールの対応が良くて驚きました。
車椅子で待っている僕に気づくと、
エレベーター内の乗客に向かって
「車いすの方がお待ちですのでどなたかお降りいただけませんか」
と声をかけてくれたのです。
降りてくれる人がいるんですよね。
とても気持ち良かったです。

~そうですね。ただ車いすで待っている人がいることに気づいても
降りるってところまで思わない人の中にも
「降りてくれませんか」って言われたら
「ああ、いいですよ」っていう人はきっとたくさんいるでしょうね。

いつも降りてくれる人がいるというわけではないと思いますが、
それはそれでいいと思うんです。

エレベーターで困るのは、車椅子の場合、
1階からとか最上階とかから乗り込むのはいいんですが、
途中階から乗る場合は車椅子優先になってるエレベーターでも、
すでにスペースがないことが多くて、
なかなか乗れない、ということが多いんです。

~車いすの人が待っているからエレベーターを降りるっていう
善意の感覚ってあまり浸透していないかもしれないですね。
考えさせられますね・・・。

~旅行するにはいろいろ準備があると思いますが。  

新幹線や飛行機利用の場合は
車椅子対応の席を予約するところから始まります。
新幹線は車椅子が設置できる席や個室もありますし、
飛行機は車椅子で搭乗口まで行って、
そこから機内用の車いすに乗り換えると
空港スタッフが席まで連れて行ってくれて
自分の車いすは荷物として運ばれ、
到着先ではまた同じように自分の車椅子に乗り換えることができるので
不自由はないんですが、
予約は普通のチケットのようにネット予約とかはできないんですよね。
電話で予約して、窓口に行って購入するんです。
もっと便利になるとラクなんですが。

        

 ↑電車にのるとき            ↑飛行機搭乗前機長さんと

~いままで泊まったホテルでよかったのはどこですか

今は、結構バリアフリーの部屋が増えているみたいなんですが、
泊まったことがあるのは
パンパシフィック横浜ベイホテル、ヒルトン東京ベイ、
日航プリンセス京都です。
特にヒルトン東京ベイは「ここにずっと住みたい」
と思うほど素晴らしかったです。

ホテルのHPでいろいろ調べますが
客室の素敵な写真だけでは役に立ちません。
車椅子で利用するためには洗面台の高さや位置、
距離も重要になるので、
一番知りたいのはバスルームの間取り図と写真です。
それがわからない場合が多く、
事前に電話して写真を送ってもらったり、
バスルームの入り口(ドア)の幅が何センチ、とか
細かく教えてもらいます。
バリアフリーとうたわれているホテルでも、
洗面所の入口から電動車いすがはいれないこともあり、
注意が必要です。
ホテルによっては、蝶番からドアをはずし、
シャワーカーテンをつけるということで対応してくれるところもありました。

~他の旅行の経験はありますか

初めての沖縄旅行は 大学時代、
視力に障害のある友人とふたりで行きました。
その頃の僕は、何でも人に頼めばできるという自信があったのですが、
友人は、そういう僕を思いあがってると思っていたようで、
鼻をへしおってやろうという気持ちがあったんだと思います。
別行動でひとりになったとき、手動車いすでは大変でした。
まず、当事の沖縄の路線バスは、前方に狭い出入り口があるだけで、
車椅子で乗車するのは無理でした。

方言の壁でことばがうまくつたわらなかったり
要求をうまく伝えられなかったりで
トイレで転倒したりもして、今まで、
自分が恵まれた環境の中にいるからこそ、
人に手伝ってもらえているということを痛感しました。

その後、ホテルの部屋からでられず
そのまま過ごすことにもなりかねなかったのですが
あちこち連絡をして、なんとか、
地元のボランティアの協力をとりつけ、
観光することができました。
友人のおかげで気づかされたこともあり、
いろいろ反省することの多い旅行でした。

その後、2度目の沖縄リベンジでは
バリアフリー化が進んでいてびっくりしました。
電動車椅子もあったので、
十分に観光を楽しむことができました。

京都に同僚(ヘルパー)と一緒に行ったときは、
バリアフリー仕様ではないホテルに宿泊しましたが、
安心して楽しめました。

北海道では、
バリアフリーとうたっているホテルに泊まったものの
事前に聞いたバスルームへの入口のサイズが
ドアの厚み分足りなくなっていて
電動車椅子がドアからはいれませんでした。
ホテルの車椅子(サイズが小さい)を借りるとか
ドアを蝶番からはずしてもらうとか、お願いして
対応してもらえることにもなっていたんですが、
連絡ミスかなにかで結局何もしてもらえませんでした。

バスルームが広くなっていて、逆にそれが災いし
車椅子からバスタブまでの距離が長く
同行してくれたヘルパーさんが入浴介助できなかったので
結局、お風呂にはいることもできませんでした。

~それはちょっと残念でしたね。下調べもしたのに。

苦情はいいましたけどね(笑)

~今後、行ってみたい場所はどこですか?

広島、四国方面ですね。

~外国にも行かれたことがあるとか?

1999年夏、アメリカ合衆国オレゴン州ユージーンという町に
二週間ほど滞在したことがありました。
東京都大田区のフットルースという団体が募集していた
国際交換プログラムに参加することができたのです。

~何かほかに旅行の思い出はありますか?

僕の中学2年の時の林間学校は、担任から
「登山だから無理そうだし、待っているだけでは退屈だし、
行ってもあんまり意味ないかもよ」
と言われたので、あっさり
「そうですね、留守番してます」と答えてしまったんです。
親は怒ってましたけどね。
「本当にいかないっていったの?」と。

みんなを見送った日の夜、
初めて自分がしてしまったことの重大さに気付きました。
が、時既に遅しで・・・。
山に直接登れなくても、いくらでも楽しむことは出来たはずで、
先生に「どうするか」と聞かれたときに、
ただ「行きたいです」とだけ言っていれば良かったのです。

後で、友達から写真を見せてもらったら、
山のぼりよりも、枕投げのほうがたくさんあって。
その場面でなら、僕も楽しめたはずなのに、と思いました。
お土産をもらっても 全然嬉しくなかったんです。
このことがあって、
「返事の仕方で 自分の状況が変わってしまう、
これからは気をつけよう」
と学びました。

~長々といろいろお聞きしましたが、
外に出ていくこと、失敗しても経験を積むことって大切ですね。

車椅子の人や介助する人のためになるお話も多かったと思いますが
私たちにも何か気づきや元気をたくさん与えてもらったと思います。
多くの人に知ってもらいたいお話でした。
どうもありがとうございました。

以上、村上さんのお話でした。
終始、途切れることなく滑らかに語っていただいたので、
イエローは 楽しく聞き入ってしまい、
同時に村上さんの意欲的な姿勢を強く感じました。

これで村上さんのインタビューは終わります。


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