ものぐさ読書ノート

徳川第十五代将軍慶喜について知りたくなり、渋沢栄一編『徳川慶喜公伝 史料編』(東京大学出版会) 全三巻を購入。今さらながら「最後の将軍」の資料が圧倒的に多いことに驚く。徳川慶喜といえば、真っ先に「大政奉還」=政権返上という言葉が思い浮かぶが、この大政奉還は慶喜の決断のみで成し遂げられたものではなかった。薩摩・土佐・芸州(広島)など各勢力の尽力があって初めて成し遂げられたものだったのだ。この大政奉還に最も力を注いだのは薩摩の家老である小松帯刀であるといって良いだろう。高村直助著『小松帯刀』(吉川弘文館、2012年。)はいくつか気になる点が見受けられるものの、小松がいかに大政奉還に心を砕いたのかがよくわかる。慶喜の想いに反して戊辰戦争が勃発した。近々、勉誠出版から箱石大編『戊辰戦争の史料学』(2012年。)が出版される。こちらの本には戊辰戦争の最新研究の成果が盛り込まれているらしいので非常に楽しみである。幕末維新研究は日に日に深化している。やっぱり史料の海から当分戻れそうにない。


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